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2006.07.30 TAA/Blog

建築家について

 私は建築家という職業についている訳だが、この職業は社会的には認知度の低いものだと思っている。最近になって安藤さんがテレビに出たり、あるいは家の増改築をテーマとした番組が出来たり、あるいは姉歯氏の事件がありもして多少はその認知度が広まったかもしれないが、それでも自分の肌で感じる所ではそんなに大差はない。

 家は大工さんが作るもの、というのが今までの時代であったと思う。家の作り方を心得た大工さんか棟梁が相手である施主と話をし、慣れた手付きで慣れた家を作り上げていった。

 そして今は家はハウスメーカーが作るものという認識に変わってきたと思う。施主は大工と話す代わりに営業の人と話をするようになった。よりわかりやすくしようとすべく、敷地を測定し図面を作り展示場でモデルハウスを見せたりして施主を納得させてサインをさせるという流れに変わってきていると思う。

 モデルハウスや営業の経費や調査の経費はバカにならないはずである。そして契約にならなかった分の経費まで、契約した側にまわされてもいる。そしてその費用はわからないようにして見積書に含まれている。ハウスメーカーは設計と施工が一体化しているので見積りにある金額がどういうものなのかチェックする働きがないのだ。チェックできたとしてもその経費を削減なんて事はできたものではないだろう。

 設計と施工を切り離さない事にはこの金額のからくりのシステムは破る事ができない。プロよるプロの監視があってはじめて金額はスリムになる。それだけでなくて、同じ図面で複数の施工業者に見積りを出してもらえば、それぞれが切磋琢磨した金額を出すので効果は倍増となる。

 しかしその場合はモデルルームがないではないか、と思われるかもしれない。しかしながらハウスメーカーであってもその敷地に立つ予定のと全く同じものまでは用意していない。空間はひとつひとつが違う。天井の高さ、間取り、周囲環境、素材、方角、風、光、あらゆるものが複雑にからみあって出来た結晶とも言うべきものである。同じようなものはあるかもしれないが、それは確実に違うものであるという事を申し上げたい。

 同じものは用意できないが、少なくとも私は模型を作ってチェックする。あるいは施主に見ていただいてチェックしていただく。模型は、図面だけでは出来ない立体的な考察が可能となる。自由な方角から見る事もでき、覗き込んで内部を確認する事も可能である。図面だけではわからなかった思わぬ発見がある事もしばしばだ。そしてお互いの意見をまとめて再び模型と図面を作り、何度も何度も往復し対話を深める事によって空間の質を上げていく。各の素材のサンプルも空間を理解する一助となる。現場に入るまでは実体験はできないが、お互いの理解が得られるまで私はそれをくり返している。時間も手間もかかるのだが。無駄になるような物は作りたくない、そんな思いが自分をつき動かしているのだと思う。私は、とここでは書いたが、設計事務所で同様の事をしているところは沢山あるだろう。

 建築家は認知度が低いと書いたが、実はそれで良いものだと思っている。空間を想像し作り上げるのが私の仕事だが、その空間はまず人があって初めて成り立つ。人が認知するからこそ空間が存在するのである。主役である人を取り巻くのが空間であるから、本来それは目立つべきものではない。目立たないように、しかししっかりと確実な場所を作り上げて奉仕できれば私は言う事がないのである。こんな仕事を続けていければ、それは私の本望である。

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